北条と比企の対立を乗り越えようとする頼家たち。
鎌倉に平穏が訪れようとしていた。
そんな時、頼家が病に倒れる。
(ドラマのプロローグより)
今回、また一つ首桶が増える事になった。
![](https://kamakura-nouhaku.com/wp-content/uploads/2022/08/IMG_1931.jpg)
蹴鞠の指南役・平 知康(たいら の ともやす)が京に戻る日が近づき、
北条 時連(ほうじょう ときつら)は最後の稽古をしていた。
この時、知康から時連は「時房」と改名された。
![](https://kamakura-nouhaku.com/wp-content/uploads/2022/08/IMG_1914のコピー.jpg)
ふとしたはずみで御所の寝殿の縁の下に鞠が転がり、知康がしゃがんで見ると、
床下に人形が置かれているのを見つけた。
折悪く、頼家は急な病に倒れている。
病床の頼家に、比企 能員は床下から回収した人形を見せた。
![](https://kamakura-nouhaku.com/wp-content/uploads/2022/08/IMG_1843のコピー.jpg)
「突然の病、原因は、唯一心当たりは一人しかいません」
「・・・叔父上、いや、まさか」
頼家は怒りに震えるが、全成の仕業とは信じがたい。
大江 広元は、誰と決めつけるのは早計だと、一度は棚上げにした。
それから義時に会い、全成が疑われていると。さらに時政が一枚噛んでいると懸念した。
義時は、時政の関与を知っているが、関与の素振りを見せない。
![](https://kamakura-nouhaku.com/wp-content/uploads/2022/08/IMG_1848.jpg)
義時は、近々頼家から呼び出しがかかると時政に忠告し、
「いいですか・・・、決して認めてはなりません」
能員は頼家の命によるものとして、全成の館の中を調べ、呪詛の道具を押収した。
能員は動きが早い。
「全成殿は、今や頼朝様のただ一人の弟」
義時は抗議し、能員は一歩も引かない。
「これが全成一人の仕業とは、思っていない」
「親父に伝えよ。いつでも受けて立つと」
義時は、北条館に急ぎ、時政に詰め寄った。
「ご自分のやった事がわかっているのですか!比企は一戦を辞さない構えです」
義時は、まず戦支度を整え、比企が攻めてくれば応戦する構えを見せるとする。
ほかの御家人たちは、戦いになる事、比企が勝つことを望まない。
北条が声を掛ければ仲裁に動くはずだ。
実衣には政子にかくまってもらうよう指示をした。
次に義時が声をかけたのが、三浦 義村、和田 義盛だ。
できるだけ多くの御家人の名前を集めてもらう事にした。
頼家のもとに全成の助命を求める訴状が届き、義時、能員、広元、政子が集まった。
「全成殿が鎌倉殿に呪詛をかけたのは明白。焚き付けた実衣も同罪」
能員が大声で非難した。
加えて頼家の後ろ盾は比企だと強調した。
「もう、良い!」
頼家は政子に免じて、実衣の罪は問わないが、全成は許せない。
「全成の首は取らぬが、流罪じゃ」
全成は宿老の一人、八田 知家(はった ともいえ)が収める常陸に送られる事になった。
宿老たちが御家人の所領について再配分の評議が始まった。
これは頼家の意向によるものだ。
御家人たちから不服の申立てがあがった。
「所領の少ない御家人は喜び、所領を多く抱える御家人からは文句が出て当然」
義時は頼家の考えが理解できない。忠誠を試しているのだろうか。
能員は御家人の考えを頼家に訴えるが、頼家はこれを拒んだ。
「ならば、比企の上野の所領を近隣の御家人に分け与える」
「わしに忠義が尽くすのならば、出来るはずじゃ。宿老が自ら土地を分け与えれば、他のものも従うはずだ」
この頼家の言葉に、能員は怒りに目がくらんだ。
そこで能員は常陸に流された全成のもとへ向かった。
![](https://kamakura-nouhaku.com/wp-content/uploads/2022/08/IMG_1851.jpg)
「実は、実衣殿が危うい」
能員は頼家の怒りが大きいかを全成に吹き込んだ。
実衣を守るようにと、温情を与えるように呪詛の道具を手渡した。
![](https://kamakura-nouhaku.com/wp-content/uploads/2022/08/IMG_1856.jpg)
全成は、その呪詛の道具を受け取った。
八田の家人の監視により、ことはすぐに発覚した。
能員がこれは謀反だと騒ぎ立てて、頼家は全盛に死罪を命じた。
常陸に流された全成は、頼家の命を受けた八田 知家によって誅殺された。
![](https://kamakura-nouhaku.com/wp-content/uploads/2022/08/IMG_1857.jpg)
全成の斬首の時に、雷鳴が轟き凄惨な最後を遂げた。
義時は死罪の連鎖を止めるのには、能員と対決するしかないと覚悟した。
「全成殿に呪詛の道具を渡したものがいます」
「・・・私だというのか」
能員はとぼけたが、義時は裏をとっている。
「最も、鎌倉殿に死んで欲しいのは、比企殿、あなたしかない!」
「鎌倉殿に従えば、所領は大きく減る。断れば今の立場が危うい。
意のままにならない鎌倉殿は、もう用がない。そいうことだ」
義時は一気に能員を責め立てた。
仮に頼家亡き後、長男の一幡が鎌倉殿になれば、武士の頂に立つ。
「どうだ、小四郎、わしに力を貸さないか」
「お断りします。鎌倉殿のもとで、悪い根を断ち切るのは、この私です!」
そのためには、頼家が直接、能員の考えを聞くのが良い。
二人の話し合いの場に来るように依頼し、御簾の奥には頼家が居るはずだ。
だが、呼んでみたが、頼家は現れない。
この時頼家は意識不明の状態に陥っていた。
(つづく)
【栃木県益子町】
ここは阿野 全成(あの ぜんじょう)のゆかりの地である。
![](https://kamakura-nouhaku.com/wp-content/uploads/2022/08/IMG_1900.jpg)
頼家の謀反の疑いで下野国(現在の栃木県)に流されて、この地で討ち取られたと吾妻鏡に記されています。
【大六天の森】
益子町上大羽の大六天の森には頼朝の弟・阿野 全成とその従者の墓(五輪塔)が残っています。
![](https://kamakura-nouhaku.com/wp-content/uploads/2022/08/IMG_1901.jpg)
名称 | 大六天の森 |
所在地 | 栃木県芳賀郡益子町上大羽 |
【伝・阿野全成の墓】
頼家の命により、謀反の罪に捕らえられ常陸国に流されました。
![](https://kamakura-nouhaku.com/wp-content/uploads/2022/08/IMG_1903.jpg)
下野国で処刑されて、全成の首は阿野庄全成の館へ届けられました。
名称 | 衣笠城址(きぬがさじょうし) |
所在地 | 栃木県芳賀郡益子町上大羽709付近 |
【大泉寺】
全成は駿河郡阿野(今の富士市一帯)を与えられ、阿野 全成を名乗り、この地を本拠地としました。
居館の一角に持仏堂を建てて祖先の礼を弔いました。これが現在の大泉寺です。
![](https://kamakura-nouhaku.com/wp-content/uploads/2022/08/IMG_1906.jpg)
名称 | 大泉寺 |
所在地 | 静岡県沼津市井出744 |
【首かけ松跡】
全成が切られたのは、今の栃木県益子町。全盛の五輪塔が残っています。
![](https://kamakura-nouhaku.com/wp-content/uploads/2022/08/IMG_1908.jpg)
切られた全盛の首は大泉寺まで飛んでいって、松野の枝に引掛かったという伝説が残っています。
義経の首が飛んで藤沢宿の白旗神社へ飛んできた話と同じです。
また次回もお楽しみに!