【鎌倉ピックアップインタビュー】T-REEF Vacation House支配人 富永忠男さん 

T-REEF Vacation House支配人 富永 忠男さん

「地元鎌倉への想い」

サーファー、シェイパー※1としての道をまっしぐら。

鎌倉市稲村ガ崎出身の富永忠男は、知る人ぞ知るプロサーファーであり、プロシェイパーでもある。サーフィンを始めたのは、小学校6年生の時だった。

「2歳上の兄の影響で始めました。兄や先輩、USネイビーの米兵たちが沖で波乗りしているのを見て、俺もやりたいなと始めて以来、サーフィン歴50数年になります」

そしてシェイパーとして歩み始めるのは20歳の頃から。

「17歳、高校2年の時に初めてハワイに行き、後の師となる世界的に有名なシェイパー、ディックブルワーに出会い、サーフボードを作ってもらいました。帰国後、稲村の台風の時に持っていくと、いつもはピークのところからうまく降りられず、パーリング※2してワイプアウト※3することが多かったのに、その板はピークのところでしっかり波をキャッチして、きれいに弧を描くようにボトムターン※4して長い壁を凄いスピードで抜けてっちゃったの。こんなことあり得るのかと。その時の感覚を思い出すと今でも体が熱くなります。波が大きくなるほど、コンディションがハードになるほど発揮するこんなマジックボード※5を、できることなら自分で作ってみたい、それが始まりです」と人懐こい笑顔を見せながら、嬉しそうに話す富永。10年間ブルワー氏のもとに通い続け、シェイプの技術を磨き、サーフボードのデザインを学んだ富永は、10年後に念願叶い弟子として認められ、プロシェイパーとなる。

※1シェイパー:サーフボードを削る職人のこと。※2パーリング:ボードに立とうとした時、ボードの先端が波に刺さってしまうこと。※3ワイプアウト:ボードをコントロールできずに海中に落ちてしまうこと。※4ボトムターン:切り立った波の一番低い位置で行うターンのこと。※5マジックボード :サーファーの夢を叶える、自分に合ったサーフボードのこと。

ニューカレドニアで培った経験を活かし、鎌倉の魅力を伝える。

ブルワー氏から独自のブランド設立を勧められ、T-REEF Surfboardを立ち上げた富永は、1996年からニューカレドニアに拠点を移す。

「移住して最初の3年間は、小さなリゾートホテルの支配人をしていました。 同時期に現地法人の旅行会社を立ち上げ、主に日本からのお客様をアテンドしたり、サーフトリップで訪れるサーファーのサーフコーディネーターを務めていました」

ニューカレドニアでは南太平洋特有のアイランドスタイルの生活を満喫していた富永。ボードで沖に行くアウターリーフでのサーフィンを楽しみながら、日本にもたびたび戻ってはシェイピングをしていた。その後、娘が大学進学でフランスへ行くのを機に、仲間たちとのサーフボード作りに専念したいと考え、日本に戻る。そして2017年、若い頃からお世話になっている先輩の勧めから簡易宿泊施設を開拓。ニューカレドニアでのホテル業、旅行業で培ったお客様のアテンドを活かせる事業だと思った。それが富永のサーフボードブランドの名を冠したT-REEF Vacation Houseだ。そして2019年、幼いころから慣れ親しんで来た地元鎌倉の地方創生を目的とする鎌倉農泊協議会の会長に就任した。

T-REEF Vacation Houseは、非日常の時間と空間を体験できる宿。

「非日常を楽しめる空間と時間を体験してもらう」ということをコンセプトに始動したT-REEF Vacation House。接客は慣れていた富永だが、ニューカレドニアでのホテル業や旅行業とは異なる点も多く、当初はそれぞれのお客様にあったおもてなしに戸惑ったという。特に集客業務と値段設定のタイミングには苦戦したが、現在ではそれもクリアしている。

T-REEF Vacation Houseの5軒の宿泊施設には、ボードデザインなどを手がけてきた富永のデザインセンスが活きている。

「1軒目のBlue Lagoonは、自分が住んでいたニューカレドニアやハワイの南国のビーチハウスをイメージして作り上げました。2軒目のPine Treeはイエローを基調とした温かみのあるラテン系の感じで、3軒目のLeafは緑あふれる自然豊かなイメージを作り上げました。4軒目の琥珀(-AMBER-)は古民家と和モダンの融合です。そして5軒目のGrand Bleuは地中海をイメージして濃いブルーと白で仕上げました」

この富永が作り上げた個性あふれる5つの非日常空間を利用されるお客様は、現在、外国人観光客が6割。その中の約8割がアジア人観光客という構成だ。

宿泊とセットで鎌倉ならではのさまざまな体験コンテンツを提供したい。

鎌倉は日本を代表する観光地の1つとして、近年では毎年約2,000万人が訪れるという鎌倉。人力車で神社仏閣を巡る観光やマリンスポーツ、食べ歩きなど、見どころや遊びどころを楽しんだあとは宿でゆっくりと寛いでいただけたら嬉しいと富永。また、オリンピックに向け、宿泊施設の需要も高まりを見せている。

「宿を始めて間もなくした頃からオリンピックの強化合宿や下見を兼ねて、選手、コーチ、関係者など、さまざまな国の方々にご利用いただき、すでに今年もこの時期はたくさんのご予約をいただいています」

一方でオリンピックにかかわらず、継続して鎌倉の魅力をアピールすべく、富永は七里ヶ浜でのサーフィン体験スクールも行っている。参加者のレベルにあわせ、初心者でも楽しめる実技と講習内容で、ベテランサーファーが丁寧かつ安全第一をモットーに指導する。観光客のビーチアクティビティとしてだけでなく、次世代のサーファー育成も目的だ。
 「サーフィン、SUP、ウインドサーフィン、セーリング 、フィッシングなどが楽しめる素晴らしい海、そしてハイキングやトレッキングができる山、気候が温暖で都心からのアクセスが良く、鎌倉野菜やシラスなどおいしい食べ物がある鎌倉は、国や年齢、性別を問わず、さまざまな方が楽しめる街だと思います。鎌倉にご宿泊の際はT-REEF Vacation Houseをご利用ください。鎌倉の魅力を紹介させていただきます。皆様のお越しを心よりお待ちしております」

人が好きで楽しいことが大好きな富永は、宿泊施設周辺の農家や漁師、飲食店との連携を図り、さまざまな体験コンテンツを計画中だ。

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