鎌倉農泊協議会の間宮です。
今回は学生団体「Cominia(コミニア)」の企画イベント報告です。
鎌倉を愛してやまない、鎌倉生まれ鎌倉育ちの宇治 香(うじ かおる)さんをゲストにお招きして
『人と繋がる』をテーマにした座談会を行いました。
本イベント開催におきましては、マスクの着用・手洗い・消毒・換気に注意して実施しております。
2022年2月20日、鎌倉農泊協議会が運営するT-REEF Vacation House「山葵 -WASABI-」が会場になりました。
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我々「鎌倉農泊協議会」は古民家・空き家を宿泊施設として再生し
宿泊者の方々に鎌倉で楽しい体験をしていただけるよう日々の活動を行なっています。
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しかし長引くコロナ禍で、我々は時代の流れに沿い、
宿泊施設を2拠点生活の場や移住生活のためのベースキャンプとするなど
長期利用が可能な新しいプランの開発も進めています。
また、宿泊施設をイベント会場として使用したい方のご相談にも対応しています。
この日は、コラボしている学生団体Cominiaが「山葵 -WASABI-」で座談会イベントを行いました。
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昨年の12月21日、材木座にある古民家宿「琥珀 -AMBER-」で行ったCominia座談会の第2弾になります。
当日の様子を一部ですが紹介させてください。
Cominiaメンバーが進行役を務めます。
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Cominia代表の渡邉すみれさんが、開会の挨拶とCominiaの活動内容を紹介。
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オンラインでカナダ在住のCominiaメンバー Solaくんも参加していました。
カナダでは深夜の時間帯です。
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座談会の企画は、ゲストである鎌倉「ソンべカフェ」を経営している宇治香さんから
『人と繋がる』についての考えをヒヤリングして、みんなで討論するという内容です。
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ファシリテーターは橋本玄(はるか)くん。
実は橋本くんは幼稚園の頃から宇治さんとお付き合いがあるんだそうです。
宇治香さんをご紹介します。
宇治 香(うじ かおる)さん
現在、鎌倉駅の側でアジア料理を提供するカフェ「ソンベカフェ」を営んでいます。
鎌倉の人たちが気軽に集うことができる場をつくれたらと、2001年に開業しました。
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宇治さんは、地元でもよく知られる「鎌倉通」です。
お手製パワーポイント、大きな画用紙に字を書いて発言してくださいました。
- 橋本玄(以下、橋本)
-
本日はありがとうございます。
早速なんですが、このCominia自体が色々なところでコミュニティを作りたいという想いを持っていまして
単刀直入に、宇治さんが思う「コミュニティ」とはどういったものでしょうか。 - 宇治香さん(以下、宇治)
-
「さんま」っていう言葉があるんですけど
空間・仲間・時間っていうね、これを三間(さんま)と言うんだけど。こういう場を作れる【場所】と、そこに愛に包まれた【人】がいれば
自然とコミュニティができるのかなって。
コミュニティってわざわざ「コミュニティ作るぜ」みたいにやるものではないのかなと思う。だけどここで1番注意しなくちゃいけないのは
集まってきた人たちを「俺たち仲間だぜ」ってやっちゃうと
仲間じゃない人と、仲間の人とができちゃう。そこが難しいところ。だからグラデーションというか、区別をしないで上手くやっていく。そのバランスが大事。
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- 橋本
-
なるほど。ありがとうございます。
宇治さんがやっていらっしゃる「ソンべカフェ」はベトナム料理が中心ですけど
テラスで農家の人が野菜を売ったり、マルシェやったり。
コミュニティの中心、ここに来れば誰かいるという感じですよね。
そこで新しい出会いが生まれていくんですね。 - 宇治
-
うちのお店の一番大事なコンセプトは「共有」ということなんです。
人間の長い歴史の中で、「所有」って概念が出てきてから争いが起きたといわれているんだけど
それまではみんな「共有」だった。
例えば、子供が生まれたら部落みんなの宝物でみんなで育てる、みたいなね。僕の活動のベースにあるのは「平和」で、それが一番根本だと思っていて
平和に向かっていくには自分が所有ではなく共有っていうのをやろう。
そういう意味合いで共有の場にしてある。みんなに使ってもらって、みんなが楽しくて。
みんなの場っていうものにしていくことが大事かなと思ってやっています。 - 橋本
-
(参加者の)みなさんの中でも、それぞれ共有しているものがあると思うのですが
共有を感じる瞬間はありますか? - 参加者1
-
映画を見終わった後、感想を言うときとか同じ時間を共有しているなって。
- 宇治
-
そうだね。
いろんな映画がある中で、同じ映画を観たいと思う時点で
思考が近いから共有しやすいんじゃないかなと思う。 - 宇治
-
鎌倉は土地をみんなで共有している感覚がすごい強いと思う。
だからなんとなくみんな、知らない人でも同じこの街に住んでいる身近な感覚。
俺はそういうのを「鎌倉家族」って呼んでいるんだけど。 - 橋本
-
(この会場の)ここはもう一家ですね。親戚の集まりみたいな。(笑)
- 宇治
-
そうだね。
「共有」っていうのは、物の共有もあるし、心の共有もあるよね。
大切なのは心の共有。 - 橋本
-
心の共有ができれば、自然と物の共有も楽になっていく気がします。
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- 橋本
-
宇治さんがコミュニティを作っていく最初のスタートっていうのは、何か想いがあったんですか?
- 宇治
-
ちょっとクサい言い方かもしれないけど、やっぱり人が好きなんだよね。
人と会うことがとにかく好きなの。必ずしも全部が全部合う人とは限らないんだけど
『こういう人もいるんだ』『こういう考え方するんだ』って人と会うことも面白いし
そこを乗り越えて本当の友達になったりすることもあるでしょ。
人と人との化学変化がいいなって。 - 橋本
-
確かにそうですね。
宇治さんが主宰している「鎌倉あるものさがし」というイベントについても
お聞かせいただいていいですか? - 宇治
-
僕はNPOもやっているんですけど、
そこで雑談をしているとき「鎌倉幕府はどこにあるか」っていう話になって
そこにいたほとんどの人たちが知らなかった。みんな鎌倉幕府がどこにあるか知ってる?
年号で覚えているくらいじゃない?どこにあるか知らない人が多いけどさ
源頼朝が約800年前に鎌倉幕府を作ってくれたおかげで
ここに脈々と営みが続き、街があり、仕事があり、暮らして、いろんな活動ができる
一番大事なルーツなんだよ。その大事な出来事と場所を知らないでいいのかなって僕は思ったわけです。
僕のそのNPOは街づくりもやっているから
「街づくりって偉そうに言ってるくせに、
幕府がどこにあったか知らないってちょっとまずいよね。」っていう話から、
じゃあ僕が案内して鎌倉をみんなで知ろうっていうので始まったんだよね。それで幕府は、「大倉幕府」って言って今は清泉小学校のある辺りが
一番最初の幕府なんですけど、全部で3ヶ所ある。
長くなるからこの辺にしておくけど、
そういう大事なことをみんなで知ろうよっていうイベントです。鎌倉に観光にくる人たちも、鶴岡八幡宮と大仏を見て帰ってしまうでしょ。
観光地も大事だけど、そうでないところにポテンシャルがあって
そこを知ることによって、より鎌倉の良さを知ってもらえる、愛着をもってもらえるっていうことを伝えたい。 - 橋本
-
旅行会社がやっている観光ツアーとは違って、鎌倉に迫るという感じですね。
- 宇治
-
そうですね。
みなさん、知っているかどうか分からないけど
「おやつ騒動」という出来事があってね。
それがあったからこそ今の鎌倉があると僕は思ってるんですけど
その場所に行くと説明しながら毎回涙が出てくる。それくらい大事な聖地。
そういうところを特に伝えていきたい。
昭和39年(1964年)、東京オリンピックのあった年。日本は高度経済成長期に入って様々な場所が開発され、どんどん緑が失われていった。その開発の手が、いよいよ鎌倉の御谷(おやつ)にも伸びてきた。
鎌倉では山と山の間の谷を「やつ」と呼び、そのなかでも「御」がつく御谷は鎌倉のシンボルとされていて、鶴岡八幡宮の背後にひかえる、とても神聖な場所だった。
市民や文化人は御谷の開発を阻止するため、ブルドーザーの前に立ちふさがって反対運動を起こした。
これを機に国会で「こんな大事な街、古都を壊していいのか。」と改めて議論されることとなり、1966年「古都における歴史的風土の保存に関する特別措置法(古都保存法)」が制定された。
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- 宇治
-
おやつ騒動を含め、先人の努力と愛情がずっと漲っている。
それが延々と繋がって今の鎌倉がある。 - 橋本
-
教科書には載っていない鎌倉があるんですね。
- 宇治
-
僕は仕事柄、観光客の方とよく話をすることがあるんですけど
「鎌倉っていい場所ですね。山もあって、海もあって、自然が豊かで」ってみんな言うじゃない。
(会場の)みんなも多分そう思ってると思うんだけど、実は僕は正反対なんですよ。
こんなに緑が減っちゃった鎌倉を、緑豊かってまだ言うんだっていう驚きがある。僕は子供の頃から、開発の歴史しか見てない。
あそこの山が無くなった、あそこも無くなった、ここも無くなった、って。開発自体が悪いわけじゃないし、僕が家に住んでいるということは
そこも何かしら開発したってことだからね。だけど鎌倉って大事なところがいっぱいある。
今は古都保存法で守られている場所があるけど
秩序なく開発されていってた時代があったんだよね。
それが悲しい思い出としてずっと心にあるわけ。そういう意味ではみんなと感覚が全然違うかもしれない。
だからこそ、これ以上無くしたくないって想いで「鎌倉あるものさがし」というイベントをやっている。鎌倉でみんなと繋がったり、思い入れを「共有」したりして
鎌倉愛を強めてほしいと思う。外から見た鎌倉は「おしゃれ」と思われていることもあるけど
メディアがチヤホヤしすぎだと思っている。
目先の売上を追うばかりでは、大事なものを失うということも頭に入れながら
バランスよくやっていかなければいけない。持続可能な街、心豊かで本当に幸せと感じれる街になっていってほしい。
お金では変えられないものに視点を置くっていうのが大事だと思う。 - 渡邉すみれ
-
心豊か、幸せ、という言葉ですが、私たちもそういう場所づくりを目指しています。
心豊かで幸せな街やコミュニティを作るためには、どういったことが必要なんでしょうか。 - 宇治
-
僕たちがやってきたコミュニティは相互扶助とか「家族未満、友達以上」のような。
デジタルだけの関係じゃなくて、お互いの環境をよく知っていて
何かあった時に助けてあげられる、家族のようなつながりが出来たらいいなと思っている。 - 橋本
-
ありがとうございます。
では最後に、宇治さんにとって『人と繋がる』とはなんでしょうか。
- 宇治
-
人との繋がりは僕にとって栄養源かな。
人生は生涯思春期。思春期のころって、いつも気持ちがワクワクしてるでしょ。
人との繋がりも楽しむことが大事です。
宇治さんの締めのコメントは、
「君達高校生がこのような企画を実行するのはすごいことだ」でした。
だいぶ省略しましたが、大人の生き方をみて学生たちは多くのことを学んだ一日になりました。
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余談ですが、このイベントの前「山葵 -WASABI-」のキッチンでは、「岡田サリー(サリ飯)料理セミナー」が行われました。
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我々の宿泊施設がこういう利用方法もあるということを、多くの方に知っていただきたいです。