店舗情報
名称 | SONG BE CAFE(ソンベカフェ) |
ジャンル | カフェ |
住所 | 〒248-0012 神奈川県鎌倉市御成町13-32 Google マップ ≫ |
営業時間 | 11:30~18:00 (定休日:火曜日、水曜日) |
電話番号 | 0467-61-2055 |
公式サイト | http://song-be-cafe.com/ |
店舗紹介
JR鎌倉駅西口・江ノ電鎌倉駅から徒歩3分
●終日アルコールの提供ございます。 ●テラス席、お座敷席、冬はこたつ席あります。●全席禁煙。テラス席はペット同伴可。 ●English Menuもあります。
ソンべカフェのオーナーの宇治香さんのお話は、熱量豊かで終始一貫していました。
もともと「ソンべカフェ」と言う名前に興味を持っていました。ソンべとは韓国語で「선배」で「先輩」を意味する言葉です。韓国料理のお店だと早とちりしました。ソンべは、今はなきベトナムの小さな村の名前で、焼きもので有名でした。
宇治さんのお店のロゴは、「SÔNG BÉ CAFE」。ベトナム語で「小さな川」を意味するそうです。このお店のネーミングに、宇治さんの生き方の原点がありそうですね。
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学生団体「コミニア」が主催する座談会イベントで、講師として参加された宇治香さんと会いました。
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是非こちらのブログも合わせてご覧ください。
地元を知ること、土地への愛着を持つことが、より良い町づくりの第1歩と熱弁していました。そのイベントで発信する宇治さんの話に興味を持ち、今回お店を訪ねました。
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宇治香さんは鎌倉生まれ、鎌倉育ちの62歳。小さな頃から鎌倉の変貌ぶりを、自らの目で見て実感しています。
山崎地区で幼少時代を過ごしました。家の前に流れている綺麗な小川が遊び場でしたが、赤や緑の工場排水が流れてくるようになり護岸工事などで街の風景がガラリと変わりました。(護岸工事とは、主に堤防を増強する工事のこと。河川の氾濫防止や磯の高波から内陸を守るといった目的で行われます。)1964年、満5歳の時に東京オリンピックを迎え、その時に聞いた母の言葉は「オリンピックで外国から人がたくさん来るから、汚い街を綺麗にするらしいの」。
小学校3年生の時に「公害」という言葉を知りました。汚い街を綺麗にするということは、何だろうかと考えたのです。自然、人の心のふれあいの大事さが、経済成長で壊れていってしまう。そんなことが幼い心の中に芽生えました。
スポーツ少年だった宇治さんは、スポーツにおける感動と涙、鳥肌が立つようなシーンで必ず、あの三本線がありました。学生時代からアディダスしか眼中になかったのです。創始者のポリシーに共鳴し、働きたいと思ったのはアディダス一社のみでした。
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そのため大学は体育学部を専攻しました。宇治さんは、現在のエントリーシート制度には違和感を感じているそうです。好きな相手に書くラブレターは1枚のはず。宇治さんが応募したのはアディダス一社のみ。面接では情熱を見せました。最終面接を、リクルート姿ではなくアディダスのウエアで受けたのです。宇治さんが見せた、たった一人の情熱のアピールでした。
無事採用となり、入社してからは頭に3本線の剃り込みを入れたほどの熱量でした。この情熱の表現は、今も劣りません。4年間の営業活動から始まり、ある日、本部長から「企画をやれ」と言われました。日頃から情報誌などを目にしている姿が、抜擢の理由だったのでしょう。
しかし、企画室は大阪の本社しかありません。「子供が大阪弁になることに抵抗がある」というくだらない理由で、せっかく頂いた機会を断ったという思いから辞表を出しましたが、受け取ってもらえませんでした。
結果的に翌年、企画室の東京分室が決まりました。トレンドの中心は東京だという会社のポリシーで、企画室の東京進出になったのです。東京では最初の一年間は、宇治さん一人で商品開発を手がけることに。その12年後、アディダス・ジャパンになりました。
外国人上司のもと仕事に情熱を持つ仲間が少なくなったことや、ただ売り上げを伸ばすことに躍起になっている上層部に疑問を感じ、辞表を出しました。「ミスター・アディダスの宇治がいなくなる!」と、社内は騒然としたそうです。その時39歳。18年間の勤務でした。
起業して「ソンベカフェ」を開店しました。
源頼朝は「前には海、三方を山に囲まれた」鎌倉を選びました。しかし、その鎌倉には簡単に説明できない開発の歴史があるのです。自然、環境、社会、経済、歴史のバランスを模索する日々。
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自らの信念、熱情、その思いを自分のエッセンスで発信して行きたいと起業しました。そして、御成町の「ソンべカフェ」をベースに、いろいろな活動を始めました。
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お店のメニューはベトナム料理を中心としたアジアン料理。アディダス社員の時に多くのアジア出張で覚えた料理です。古き良き日本の雰囲気を思いだすような風景で覚えた味。
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料理の修行で、飛び込みでタイ・ベトナムのキッチンスタッフになりました。給料は無給、泊まる部屋&まかない飯付きで、カタコト英語と現地語で料理を学びました。
人気料理は「フォー(ベトナムの主食の汁麺)」
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「バッタイ(タイの具沢山の焼きそば)」
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「グリーンカレー(タイのポピュラーなカレー)」
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「豚バラと卵の氷砂糖煮」など。
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その他、その日のスペシャルメニューもあります。
お店にはアジアの雑貨、陶器、フェアトレード商品やイベントの告知チラシ、自作のCDも販売しています。アジアングッズの宝石箱のようです。
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『六カ所村ラプソディー』(映画会)を皮切りに、環境問題、社会問題から政治、選挙、憲法まで、お店の開店と同時に多くのイベントを行いました。
いろいろな活動の最終目的は「平和」。小学生でも分かりやすいように戦争や平和に関するイベントも開催しています。
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地元を知ること、土地への愛着を持つことが、より良い町づくりの一歩。
2008年に「NPOかまわ」を設立しました。「かま」は鎌倉。「わ」は和む、平和の「わ」。2009年にはトラジション・タウン鎌倉を設立。人や自然環境にできるだけ負荷を与えず、心豊かに持続可能な暮らし、社会を目指す草の根活動です。イギリスから始まった考え方で、世界的ネットワークになっています。
地元を知ること、土地への愛着を持つことが、より良い町づくりの一歩。この発想から生まれた「かまくらあるものさがし」。五感をフルに使って鎌倉の自然、歴史、文化などの資源を見て、体験し、発掘する旅。最後に参加者全員でその日見たもの、感じたこと、気づいたことをシェアする、宇治さんが案内するイベントです。
宇治さんは鎌倉で起こった「御谷(おやつ)騒動」も紙芝居にして、多くの人に伝えています。「おやつ騒動」とは鶴岡八幡宮の裏山に宅地開発の計画が起こったときの話。その時に鎌倉の歴史的景観を守ろうと鎌倉在住の作家、鎌倉市民が立ちあがり、土地を守る運動を展開しました。結果的に鎌倉の裏山は守られました。御谷は多くある谷(やつ)の中で、御のつく特別な聖地なのです。
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ご覧ください。現在も鶴岡八幡宮は、前後を緑の森に囲まれています。後ろにマンションが立つ様子は想像したくないですね。
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この時に鎌倉風致保存会が誕生し、その運動が国会を動かし、全員賛成で「古都保存法」が生まれ、京都や奈良の美しい景観も守られるようになりました。
宇治さんは、今後を憂いて話を続けました。
10年前からデジタルデトックスと言うイベントも試みています。デジタルデトックスとは、一定期間スマホやパソコンから距離を置いて、ストレスを軽減し、現実世界でのコミュニケーションや、自然との繋がりを大事にする取り組みのことです。デジタルデトックスは、デジタルを完全に手放して生きようと言うものではありません。デジタルとのより良い付き合い方と、アナログの良さを知るためのワークショップです。
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宇治さんは携帯電話を持っていませんし、パソコンにもあまり触れません。お店のHP作りはスタッフが担当してくれていると笑顔で話してくれました。
デジタル時代が生んできた現象。電車でスマホを見る若者は、妊婦が前に立っても気がつきません。本来協力し合う、助けあう、ゆだね合うという、他者に対する気持ちが減ってきた傾向があります。時代に逆行していると言われても、身をもって出来るだけその想いをポリシーとして持ち続けて行きたい。少しでも、そうだと思って生きて行きたい。
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「すべては頼朝さんを悲しませたくないと言う気持ちなのだ」と締めくくりました。
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そう語った頃には、目の前の鎌倉駅も、静かな宵の風景になっていました。
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ソンベカフェの情報はHPでチェックしてみてくださいね。
周辺の観光地紹介
昭和時代の小町通り
伝統的なお土産物屋からファッショングッズ、若者にも人気の立ち食いや喫茶が並んでいます。
鎌倉の問題点は観光客の集中化。いわゆるオーバーツーリズム問題です。その点で鎌倉市は分散観光を模索しています。
現在の小町通りは、古くは「瀬戸耕地」と呼ばれた農道で、JR横須賀線鎌倉駅が開業すると市街化が進んみました。鎌倉時代には若宮大路の東側の小町大路(辻説法通り)が流行っていたとされています。近代になり、駅前のお店が関東大震災で被災し、今の小町通りに移転しました。
今は東京資本や海外(中国)資本が進出して、街の様子が大きく変わっています。今では電線地中化工事が行われて、空が大きくなりました。流石にコロナ禍は従来の観光客は激減しました。
所在地:JR鎌倉駅の東口から、鶴岡八幡宮までの段葛(だんかずら)と平行に走る通り