
皆さん、こんにちは!鎌倉農泊協議会で研修生です!いつもこのブログを覗きに来てくださって、本当にありがとうございます!
鎌倉での研修が始まってから、私の生活はガラリと変わりました。朝早くに起きて、谷戸(やと)を包む霧を眺め、畑で土に触れる毎日。都会にいた頃よりも、季節の移ろいや「生きている音」に敏感になった気がします。泥んこになったブーツも、今では私の誇らしい相棒です(笑)。
今日は、そんな修行中(?)の私が、農作業の合間にふらりと立ち寄って、「ああ、鎌倉に来てよかった……」と心から感動した、とっておきの場所のお話をさせてください。それは、深い緑に抱かれた谷戸の奥深くにひっそりと佇む、まるで物語の1ページを切り取ったような古民家カフェでのひとときです。
ガイドブックに載っている賑やかな小町通りも楽しいけれど、たまにはスマホをバッグにしまって、自分の直感だけを頼りに細い路地へ入ってみる。そんな、ちょっとした「寄り道」から始まる物語です。
1. 迷い込んだ先で見つけた、緑の中の秘密基地
鎌倉の住宅街って、実は迷路みたいに複雑なんです。道が細くて入り組んでいて、角を一つ曲がるだけで、さっきまでの観光地の賑わいが嘘のように消えて、しっとりとした静寂に包まれます。
ある日の研修の帰り道。心地よい疲れとともに歩いていた私は、吸い寄せられるように、とある谷戸の奥へと続く細い坂道に入り込んでみました。石垣を覆うふかふかの苔、どこかの庭から溢れ出すように咲いている季節の花。湿り気を帯びた土の匂い。一歩進むごとに、空気が少しずつひんやりと、澄んでいくのが分かりました。
「えっと、この先に本当にお店があるのかな……?」
少し不安になりながら進むと、突如として、立派な瓦屋根と重厚な木の門が現れたんです。看板もほんの小さな手書きのものが置かれているだけ。でも、その佇まいには「どうぞ、ゆっくりしていってください」という無言の優しさが溢れていました。門をそっとくぐれば、そこはもう完全に別世界。車の音も、人の話し声も届かない、緑の秘密基地のような空間でした。
2. 木の温もりに包まれて、大きく深呼吸
暖簾をくぐり、少し立て付けの悪い木の扉を「ガラガラ……」と開けると、使い込まれた黒くて太い梁(はり)が真っ先に目に入ってきました。天井が高く、どこか懐かしい、おばあちゃんの家に遊びに来た時のような、い草と木のいい香りがふわりと鼻をくすぐります。
「お好きな席へどうぞ」と、店主の方が優しく声をかけてくれました。私は迷わず、美しいお庭が目の前に広がる縁側の席へ。
使い込まれたひんやりとした畳に「よいしょ」と腰を下ろした瞬間。農作業でピンと張っていた肩の力が、魔法が解けたように「ふぅーっ」と抜けていくのを感じました。畑で一生懸命土を耕し、太陽の光を浴びた後だからこそ、この「ただ座って、庭を眺めるだけの時間」が、身体の隅々まで染み渡るように気持ちいいんです。
昔の職人さんが一枚一枚丁寧に仕上げたんだろうな、と思わせる繊細な組子の障子。そして、少し歪んで景色がゆらゆらと揺れて見える、古い手吹きガラスの窓。そこから差し込む柔らかな陽だまりを見つめているだけで、トゲトゲしていた心が丸くなっていくような気がします。
3. 抹茶と和菓子、自分への「最高のギフト」
しばらくして運ばれてきたのは、丁寧な手つきで点てられた、深い緑色をしたお抹茶。表面のきめ細かな泡が、宝石のように美しく輝いています。そしてその隣には、今の季節をそのまま形にしたような、繊細な色合いの和菓子がちょこんと添えられていました。
まずは、温かいお茶碗を両手でそっと包み込みます。陶器の適度な重みと温もりが、手のひらから伝わってきて、それだけで心がホッと落ち着きます。お抹茶を一口。口の中に広がるふくよかな苦みが、農作業で少し乾いた喉を優しく潤してくれました。「ああ、幸せ……」。
続いて、和菓子を黒文字(お箸)でそっと切り分け、口に含みます。上品な甘さがゆっくりと舌の上で溶けていき、抹茶の苦みと重なって、最高のハーモニーを奏でてくれます。お皿の上に表現された「小さな四季」を目で愛で、鼻で香りを楽しみ、舌で味わう。
スマホの通知を気にすることもなく、ただ目の前の美味しさと、庭を渡る風の音に集中する。これって、情報に溢れた毎日を過ごす私たちにとって、何よりの「贅沢なギフト」なのかもしれません。
4. 心の余白が、明日へのエネルギーに
小一時間ほど、ただぼーっと庭の苔を眺めたり、小鳥が水浴びする様子を眺めたりして過ごしました。自分でも驚くほど、時間が経つのがあっという間でした。
お店を出て、また元の細い路地を歩き始めた時。不思議と、さっきよりも足取りが軽くなっている自分に気づきました。視界がパッと明るくなり、すれ違う人にも自然と笑顔になれるような、そんな清々しい気持ちです。
毎日を「効率よく」「急いで」過ごさなきゃいけない、と思いがちですよね。でも、たまにはこうして時計を外して、谷戸の静かな場所に身を置いて、五感を研ぎ澄ます時間があってもいい。そんな「心の余白」があるからこそ、また明日からも元気に畑に立てるんだな、と研修生ながらにしみじみ実感した一日でした。
もし皆さんが鎌倉にいらした時は、ぜひ「自分だけの隠れ家」を探しに、谷戸の奥へと迷い込んでみてください。そこには、あなたの疲れをそっと解きほぐしてくれる、温かな魔法のような時間が待っているはずです。
【次回予告:耳を澄ませば聞こえてくる♪鎌倉のメロディ】
さて、次回のブログでは、鎌倉を「音」で楽しむ旅についてお届けしようと思います! ガタゴトと街中を縫うように走る江ノ電の愛らしい響きや、夕暮れの空高くに響くトンビの「ピーヒョロロ」という声、そして夜の谷戸で聞こえてくる、ちょっと不思議な自然の音……。 写真には写しきれないけれど、確かにそこにある「鎌倉の空気感」を、皆さんに音色をお届けするような気持ちで綴ってみたいと思います。
どうぞ、次回の更新もお楽しみに!

