
皆さん、こんにちは! 鎌倉農泊協議会で研修生です!
「鎌倉で研修してるんだ」と言うと、多くの方から「おしゃれなカフェ巡り?」とか「お寺巡り?」なんて聞かれるのですが、私の毎日はそのイメージとは少し……いえ、かなり違います(笑)。
私の毎日は、驚くほどアナログで、泥臭くて、そして驚くほどエネルギッシュ。 今日は、ガイドブックには絶対に載らない、農泊研修生の**「ある1日のルーティン」**を、私の心のつぶやきと共に、たっぷりとお届けします。
06:00 「おはよう」の代わりに、土の匂いを嗅ぐ
私の1日は、お借りしている古民家の、重たい雨戸を引く「ガラガラッ」という音から始まります。
まずは顔を洗う前に、長靴を履いて畑へ。朝一番の仕事は、野菜たちの「顔色」を見ることです。 谷戸(やと)の朝は、都会よりもずっとひんやりしていて、霧がしっとりと肌にまとわりつきます。その空気を胸いっぱいに吸い込むと、まだ眠っていた頭がシャキッと目覚めます。
「今日は喉が渇いてるかな?」「あ、この葉っぱ、昨日の夜に虫さんに食べられちゃったね」 農家のお父さんに教わった通り、葉っぱの裏側を一枚ずつ覗き込みます。研修を始めたばかりの頃は、どれが雑草で、どれが野菜の芽かも分かりませんでした。「〇〇さん、それは大根じゃなくてペンペン草だよ!」なんて笑われたことも、今ではいい思い出です。
毎日触れていると、野菜たちが発する小さなサインが少しずつ聞こえてくるようになります。この「会話」ができるようになると、畑仕事がぐんと楽しくなるんです。
08:00 奇跡の「15分前収穫」と、身体が喜ぶ朝ごはん
朝食の準備も、大切な研修のひとつ。といっても、冷蔵庫を開けるのではありません。 「研修生さん、朝ごはんの味噌汁に入れるネギと、サラダのレタス、今から獲っておいで!」 農家のお母さんの威勢のいい声に、ザルを持って畑へダッシュ!
収穫からわずか15分。まだ切り口から水分がじゅわっと溢れている野菜を、台所でザクザク切って食卓へ運びます。 包丁を入れた瞬間に弾けるような「シャキッ!」という音。そして、口に入れた瞬間に広がる、野菜本来の濃い味。 「昨日まで土の中にいた命を、今いただいているんだな」 そんな当たり前のことに感動しながら食べる朝ごはんは、どんな高級ホテルのビュッフェよりも、私の身体を芯から元気にしてくれます。
10:00 「終わりなき戦い」雑草取りと、未来のベッドづくり
午前中は、いちばん体力の使いどころです。 今日は、数ヶ月後に収穫する大根のために、畑を耕して「畝(うね)」を作る作業。 「土を平らに整えるのは、これから生まれる赤ちゃんのベッドを作るのと同じなんだよ。デコボコしてたら、野菜もぐっすり眠れないだろう?」
農家さんのその言葉を聞いてから、クワを持つ手に自然と力が入ります。 腰は痛いし、手のひらにはマメができそう。でも、一歩一歩、自分の手で土がふかふかになっていく様子を見るのは、言葉にできない達成感があります。都会でパソコンのキーボードを叩いていた時には感じられなかった、「自分の手が世界を変えている」という確かな手応え。
ふと顔を上げると、遠くでトンビが悠々と空を舞っています。 「ああ、私、今すごく『生きてる』な」 そう実感する瞬間です。
13:00 至福の「お茶の時間」。心の壁が溶けるひととき
農泊の現場でいちばん大切なコミュニケーション。それが、10時と3時に訪れる「お茶の時間」です。
畑の隅に座り込んで、農家さん特製の梅干しや、ふかしたお芋を囲みます。 「今年は雨が少ないから、あそこのキャベツが心配だね」 「研修生さんのクワ使い、だいぶ様になってきたじゃないか」 そんな何気ない会話の中に、何十年もこの土地で生きてきた人だけが知る、自然への深い敬意と、暮らしの知恵がキラキラと散りばめられています。
この時間は、単なる休憩ではありません。農家さんの人生に触れ、自分の価値観が少しずつ広がっていく、私にとって最も大切な「学びの時間」なんです。
15:00 野菜を「おめかし」させる。バトンを繋ぐ仕事
午後は、収穫した野菜を市場や「レンバイ(鎌倉市農協連即売所)」へ出すための準備をします。 土を丁寧に洗い落とし、黄色くなった葉を取り除き、長さを揃えて袋に入れます。
「これは研修生さんが選んでくれたんだねって、お客さんに喜んでもらえるように、綺麗におめかしさせてあげよう」 農家さんのその言葉を聞くと、袋詰めひとつにも魂がこもります。 自分たちが汗を流して育てた野菜が、誰かの家の食卓に並び、誰かの夕飯のご馳走になる。その幸せなバトンを繋ぐ最後の大切な仕事。野菜たちが「いってらっしゃい!」と誇らしく見えてくるから不思議です。
18:00 夕闇の谷戸と、自分を抱きしめる反省会
日が山の向こうに沈み、谷戸が深い群青色に染まる頃、道具を洗って片付けます。 お風呂上がりに、泥だらけになった長靴を洗いながら、1日の自分を振り返ります。
「今日は昨日より少しだけ、速く植えられたかな」 「あの時、農家さんが言っていた言葉、そういう意味だったんだ」 都会で分刻みのスケジュールに追われていた頃には、自分の心の声なんて聞く余裕もありませんでした。でも今は、心地よい疲労感の中で、自分の成長を静かに喜ぶことができます。
夜、古民家の布団に入ると、遠くでお寺の鐘の音が聞こえてきます。 深い静寂の中で、明日への期待を胸に眠りにつく。 研修生の毎日は、派手な成功物語ではありません。でも、土に触れることは、自分の心に触れること。毎日少しずつ、自分自身も耕されているような気がします。
まとめ:鎌倉の土が、あなたを待っています
研修生としての毎日は、決して楽なことばかりではありません。 でも、「便利」はないけれど、ここには確かな「満足」があります。 「スピード」はないけれど、ここには深い「充実」があります。
畑で真っ黒に日焼けして、少しだけたくましくなった私が、皆さんのご案内役としてお待ちしています。 皆さんも、一度この「泥だらけの幸せ」を味わいに来ませんか?
【次回予告:研修生のリアルな失敗談!?『農泊、これを持っていくと100倍楽しめる!』持ち物リスト】
さて、次回はさらに実用的なお話を! 「おしゃれなワンピースで行ったら、ひっつき虫だらけになっちゃった!」「意外と夜は冷える?」など、私が実際に失敗して冷や汗をかいた経験から学んだ、農泊を最高に楽しむためのベストな服装や持ち物を伝授します。
どうぞ、お楽しみに!

