新型コロナウイルスのパンデミックはありとあらゆる分野に大きな影響を与えています。特に観光業、飲食業、イベントといった経済活動に支えられている地域経済へのダメージは大きく、復興のためにはウィズコロナ時代の“新しい生活様式”に則った戦略が求められます。

ここでは、T-REEF Vacation Houseの2019年1月から2020年5月の宿泊データからみられる新型コロナウイルスが宿泊業にもたらした影響や、実際に運営をしていて感じる肌感覚や観光地の実情をレポートし、どういった意識をもってアフターコロナへの道を進んでいくのか、T-REEF Vacation Houseの運営に携わる4人の生の声を掲載していきます。

連載第4回は、宿泊施設の清掃や予約管理、運営管理などを行うT-REEF Vacation House北原葉子のレポートです。

アフターコロナに向けて

T-REEF Vacation House 北原 葉子 

 新型コロナウイルスによるパンデミックで、宿泊業界も大きな転換期を迎えようとしている。これまでインバウンド観光客の利用が4割を占めていた弊社のバケーションハウス事業も例外ではない。鎌倉という土地柄、3月の桜のシーズンから6月初めのアジサイのシーズンを経て、海水浴シーズンまで多くの観光客が見込まれるいわば書き入れ時にコロナショックにみまわれた。例年ならば、予約のメールがひっきりなしに入ってくる時期に、届くのはキャンセル通知ばかり。そんな矢先、オリンピックの延期が決まり緊急事態宣言が発令。テレワーク目的の施設として多少の需要があったものの、そもそも外出自粛が叫ばれる中“集客”をすることへの葛藤や、情報が錯綜するウイルス対策への不安を感じながらの運営だった。そして7月は営業を自粛。静まり返った観光地。現地支配人は忙しい時にはなかなかできない施設のメンテナンスや、ゲストのデータ分析などを行い前向きな姿勢を絶やさずにいてくれたことが心強かった。

 さて緊急事態宣言解除後の現在、業界内ではインバウンドの復活は来春以降だろうとの見立ての一方で、近場や国内旅行の宿泊需要は徐々に戻ってくるだろうと考えられている。そして新しい生活様式に沿ったウィズコロナの旅行スタイルのキーポイントとなるのは、例えば車を使った旅や、キャンピングカー、1棟貸し切り施設に泊まるなどの「プライベート感」の強い旅行スタイルや「長期滞在」「アウトドア」「健康志向」だといわれている。

弊社のバケーションハウス事業に当てはめて考えてみたい。2019年の宿泊者統計データを見ると、インバウンド観光客を除く国内利用者のうち東京、神奈川からの利用者はおよそ半数を占めている。都心から車で小1時間、電車でもおよそ50分でアクセスできるのが大きな魅力なのだろうと伺える。また弊社の運営するバケーションハウスは簡易宿泊所、民泊であり、全て貸し切りの「プライベート空間」を提供しているのも今後の需要につながるであろうと考えられる。またしっかりとしたキッチンに調理器具、食器も完備していて「長期滞在」にうってつけの環境を提供している。鎌倉という土地は神社仏閣などといった名所旧跡が有名ではあるが、一方でマリンスポーツやハイキングなどといった「アウトドア」の観光資源にも恵まれている。弊社が今年度の開始を目指している農業体験においても、開けた里山の農地で鎌倉野菜の収穫体験を楽しむことができ、有機栽培された野菜を食するといった面で「健康志向」に即しているともいえるだろう。残念ながら今年は海水浴場がオープンしないが、逆に考えれば例年よりも静かな海はアピールポイントにもなりうる。

 言わずもがな、「安心・安全・清潔」にはこれまで以上に注意を注ぎ、こういった鎌倉の魅力や施設の有用性を積極的に発信・活用し、これから確実に来るであろう旅行マーケットの大波に乗れるよう備えておきたい。


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